「MIKIO SAKABE」- レザーの可能性を追求した”生命”感じるショー

日本最大級の皮革トレードショー東京レザーフェア2017-18AWコレクションが12/8(木)都立産業貿易センターにて開かれました。初日には「MIKIO SAKABE」がファッションショー&トークショーを公開。皮革企業とのコラボレーションにより、素材開発から製品加工までのアイテム製作を半年間にかけて行い、レザーの可能性に追求した今回のショー。鮮やかなカラーリングや素材の組み合わせ、メイクアップまで「生命」や「ホラー」をテーマにした今回のルックの数々。なぜそのテーマを選んだのか、また、皮革と日本の産業の付き合い方まで、ファッション&皮革業界必見のトークの模様をお届けします。

<トークショーゲスト>

「MIKIO SAKABE」デザイナー:坂部三樹郎さん

三越伊勢丹「TOKYO 解放区」バイヤー:寺澤真理さん

繊研新聞記者:五十君花実さん

株式会社ニッピ・フジタ:森脇さん

MC:

先ほどのショーを終えた感想と、ご覧になったお気持ちを伺って参りたいと思います。

まずは坂部さん、今回のコレクションにつきましてテーマやコンセプトがありましたら教えてください。

坂部:

はい。今回のショーに向けてのコンセプトは、ホラーなものをコンセプトにしていて、レザーといえばライダースが出てくるようなホラー映画がリンクしました。なんでそれをやりたくなったのか、よくわからなかったんです。最初。

ちょっと血をながすようなメイクをしたいなと思ったのは、レザーは根本的には生命を扱ってるので、そこを見て、見ないことはできないと思って。実際、食品としても勿論食べるじゃないですか。スーパーで並んでるミンチをみても、それが何かを殺されたと思わないようにされているというのが根底にあってもちろんそれはそれで、みんなが殺すシーンを思い浮かべたほうがいいとは思わないですけど、

結局はそれを知らないで育つ子供のほうが多くて、それよりも生命を扱っているという尊さみたいなものを、コレクションの場で、レザーのもつ魅力というものを表したらいいのかなと思って。今回はちょっと、自分で元々やったコレクションとはテーマを変えて、ショーをやりたいと思いました。

MC:

そのコンセプトを打ち上げたのは、だいたい今からどのくらい前になるんですか?

坂部:

この日、というのはないです。徐々に扱って、工場をみさせてもらったり一緒に作っていく中で、普通の洋服を作るのとはちょっと違う何か、

レザーの存在感というのは生命と関係しているような気がしていて、それがきっかけですね。いつからというか、徐々にという感じです。

MC:

工場をご覧になったり、過程でイメージが膨らんでいった感じなんですね。

坂部:

そうです。まさに。

MC:

磯辺さんご覧になっていかがでしたでしょうか。

五十君:

ちょうど昔の、子供のころに見たホラー映画みたいだと思ったんです。三樹郎さんとおっしゃったことと、感じたことが同じだなと今思ったんですけれど。三樹郎さんのお洋服って、今回のショーに限らずいつも可愛さにどこかオドロオドロしい感じとか。可愛いんだけどちょっと怖いみたいな感じが魅力だなと思っていて、今回はレザーをたくさん使っていらっしゃるから、マットな輝きのレザーとか逆にツヤっとしたものとか、いろんなレザーの質感がちょうど三樹郎さんの魅力にマッチしていてより素敵に見えました。

MC:

寺澤さん。ご覧になっていかがでしたか。

寺澤:

そうですね。私はバイヤーという立場で、ショーを見るときは、お客さまの視点だったり、買い付ける担当としての商品を見る目線だったり様々なんですけど、ショーってすごく夢があるので、ワクワクして楽しいなという第一印象です。仕事を見る目線で、生地なんだろうかレザーなんだろうか考えたり、着てみたいとか、中がどうなってるのか知りたいと感じたショーでした。

MC:

制作をずっと一緒にされていた森脇さん、ご覧になって今のお気持ちはいかがでしょうか。

森脇:

そうですね。ホラーをイメージしていましたが、1着1着に特徴があって、見せ方がいろいろあるんだなと。革ということで、生命が宿っていたものを使っている、土台はそうなので、それを思い浮かべました。革ってどうしても重いイメージがある中で、軽く、ふわっとしたようなイメージの服の提案も結構ありまして、ああいう風にでも着せられるんだなと改めて感じて、かなり楽しませていただきました。

MC:

坂部さん、今回、東京レザーフェアのコラボレーションを通じてレザーにどんな可能性を感じて制作されたのでしょうか。また、今までご自身が作られていたコレクションと、何か大きな変化は今回発生しましたでしょうか。

坂部:

そうですね。シェイプの作り方は自分のやってる本来のラインに近いものが多いんですけど、今回のショーをやることで、一番の違いは革自体の存在感です。今回つくった全体的なシルエットは、服1着1着いつも人間のシルエットでデザインしていて、身体変化を考えたんです。なので、すごくミニスカートにして脚を極端に長く見せるとか、肩を露出させるとか、普通の人の身体から離れた表現というのを結構やっていて、そうする中で、レザーは説得力が全然ありましたね。レザーというのは人間とすごく相性がいいのかなと思いました。

MC:

ありがとうございます。約6ヶ月前にこのプロジェクトをスタートしているわけですが、ファッションデザイナーとともにものづくりをされていく事によって、森脇さんご自身は、新しい発見や気づきというものはありましたでしょうか。

森脇:

そうですね。この業界に入って、いろいろな業界の当たり前が、坂部さんにご相談していくにあたって、いやこういう価値があるんだよというのを、その中で知った事が何度かありましたね。

MC:

例えば今までの先入観を打破してくれた事は何かありましたか?

森脇:

和牛とか国産牛の革っていうのが自分たちの使っていたのとは別に、価値があるんではないかというのが気づきでしたね。

MC:

和牛ってお洋服として、私たちアパレルとして使われる事はあるんでしょうか。

森脇:

そんなに多くはないとは思います。

MC:

なんで使われていないんですか。

森脇:

中には良いものもあるんですけど、品質にやはり差がありまして。傷が多かったり、虫に刺されたり、そういうものが多いものはあまり使いずらいですので、そういうものは避けて、工業製品にもっていかれていたというのがあるので。単純に衣服用として使っているのは、そういうものは少ないというのはありましたね。

MC:

坂部さん、今回のコレクションの中で、和牛と言われるレザーは使用していましたか。

坂部:

はい。使っています。ライダースにも使いましたし。今(森脇さんが)おっしゃられたようなことは、やる前に教わったんですけど、実際服にしてみると、クオリティー的におかしいという事はなくて、着やすかったり柔らかかったりするし、実際、食として牛を食べて、革を衣料品として使うというのが根本的にはすごく大事な事だと思っていて、そうなると和牛自体と日本での消費の量が近い方が、本当は業界的にはスムーズなんじゃないかと思いました。実際、今海外で買ってる革よりも和牛の方が値段が安いんですよね?

森脇:

そうですね、安いです。

坂部:

実際値段的に安くなって、クオリティーが低く見えないものなんです。だから流通しやすくなるんじゃないかと思いました。なので使ってみたいと思います。

MC:

和牛の革を使ったアイテムを作ったらすごく高いのでは?と、先ほど舞台裏でモデルさんもおっしゃていましたが、いかがでしょうか。

坂部:

実は和牛の方が革としては安かったりするというのは、あまり知らないことですよね。だからもったいないというか、ブランディング的には世界的に有名だし、その革自体の消費も伴えば、もっとブランドとしての価値もあるのかなと思いました。

森脇:

そういうのも先入観があったので、そこに価値があるのはこれを通じてはじめて気づいた点ですね。

MC:

こういった活動を通して、新しいアイデアがたくさん湧いてくるのかもしれません。寺澤さん、実際レザーをバイイングされる際に大事にされているポイントはなんでしょうか。

寺澤:

まずお客様にご紹介するときに、お洋服として着る場合だったらやはりかわいい着方とか、着心地というところを考えると、単純にレザーと聞くと、重い硬いという先入観があったんですね。でも前回、なめす技術がすごく高いから、薄くて滑らかな、生地のように革を使えるということとか、加工する技術が高いので、ファッション性が高い、かなりバリエーションがある事をお話しで伺って。

売る側としてもお客様にメリットとして、綿を選ぶのか、麻を選ぶのか、シルクを選ぶのか、というのと同じように生地の素材の中から、革を1素材としてご紹介できるのかなと思いました。

MC:

消費者としてレザーというと秋冬のアイテムという感じがしたんですけど、オールシーズン使っていただけるものと考えていただいてもおかしくないですよね。

寺澤:

そうですね。靴、バッグというアイテムに多いというイメージもあったんですけど、着る服のなかにも革があるとなると、かなりお客様に対しての選択肢というのを広げてご紹介できるというのが、売る側としてはとても可能性を感じています。

MC:

五十君さん、レザーはもちろんなんですが、取材で大事にしているポイントを記者の目線で教えて下さい。

五十君:

はい。レザーに限らず日本は素材が、世界でもすばらしいと言われると思うんですけど。取材させていただく際、こんなにすごい技術で、こんなに綺麗になめすってすごいなと感動するんですが、一方でテクニックとしてすごいところはもちろん素敵なんですが、ファッションに載せていくとなると、トレンドみたいなところ、例えば女の人が今本当に着たいと思わせるものが、素材を作る段階でも考えている事が大事なんだろうなと思っていて。素材展としてどこまでご覧になられているのだろうと、気にするようにしています。

MC:

今後、レザー業界がますます発展していくために、大事なことはなんだと思われますか。

寺澤:

売る場所を持っている私としては、お客様がどういったものを着たいか、どういうものを見つけて、日常に取り入れたいかという声を、業界の中でのコミュニケーションに生かしていきたい。お客様の役に立てるものってどういうものが、表現手段として、どういったものがあるのかというのを、お客様から情報をいただいてつなげていけるようにしたいです。

MC:

五十君さんはどのようにお考えになりますか。

五十君:

日々取材をして思うのは、業界の常識って、たぶん世間の非常識なんだなと感じていまして。お二人の取り組みみたいに、これまでレザーの業界の常識だったものを、寺澤さんが新しい提案をしたように、レザー業界全体で進んでいくと、新しい光がもっともっと見えるんだろうなと思っています。

MC:

どうしたらレザー業界が盛り上がっていくのか、レザー業界のお立場から代表して、森脇さんいかがでしょうか。

森脇:

レザーも土台がやはり生物であって、そのまま出ちゃうものでありますから、それがデメリットとしてではなく、いろんな表現方法によって魅力で変わるようになれば、おのずと発展していくのではないかと思います。

MC:

それでは最後に、デザイナーの立場から、坂部さんはどのようにお考えになられますか。

坂部:

レザーの業界ってすごく専門的なところに特化していて、なめす技術だったり加工技術だったり。専門的な技術が多ければ多いほど、閉鎖的にもなっていってしまう業界だと思っています。それはレザーだけではなくて、全ての業界においてであって。アパレル業界もそうですし、近そうな業界でさえ繋がっていないところが、たぶんどの業界にもその垣根を越える事自体が大事な時代になってきたと。

実際、どの産業も厳しいと言われているところもあるんですけど、逆にいうと、繋がってなかった産業が繋がる事が新しい発展に一番近いので、

そういう意味では今回の取り組みのような、近そうでそうでない人たちがどんどん接触していく事で、活性化しやすいのではないですかね。

MC:

レザー業界の明日がまたワクワクするように感じました。本日は誠にありがとうございました。

坂部三樹郎(さかべみきお)

アントワープ王立美術アカデミーを首席で卒業。自身のブランドMIKIO SAKABE を立ち上げ今年で10年目となる。デザイナー山懸和良と共に「東京ニューエイジ」や「ファッションモーメントトーキョー(FM.TOKYO)」をプロデュース。日本で唯一自給できるピッグスキン(豚革)を使ったファッションショー「TOKYO LEATHER PIGSKIN 2016」にも参加。

UNCLACK 編集部
UNCLACK 編集部

海外を中心にセレクトしたアイテムをスタイリストが自由にコーディネートするオンラインマガジンです。 UNCLACKは、2011年7月にサイト上の小さなスタイルブック制作からスタートしました。

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