ヨーロピアンジャズのクラシカルムード漂うBGMとともに現れた、パステルカラーの少女服。
陶器のような真っ白い肌、人形を思わせるルックスのモデルの彼女たちが歩く表情からはかすかに笑みがこぼれ、見ているだけでこちらまでじんわりと温まってくるような不思議な気持ちよさ。
hiromichi nakanoのフレンチシックなデザインは長年に渡る根強い人気と熱狂的なファンに支持され続けている。パステルカラーの色使いはSSから継承し、今回のAWでは温かみのあるカシミア素材のニットやマフラー、モノトーンを中心としたコントラストカラーが登場し、よりモードで大人びた印象を受ける。中盤には、シャープな曲線で大きくカラーブロックされたコントラストの美しいドレス、大きな円形やブラック＋ホワイトのジオメトリックデザインは60年代に人気だったモデル「ツイッギー」を彷彿とさせる。終盤から登場した、ソフトなホワイトシフォンをショルダーやスカートのフレア部分に使われたドレスは、まるでエンジェルのよう。
そのかわいらしさと一つ一つの完成度の高さは、女性たちの心の奥に秘めている「ときめき」が、洋服によって少しずつ思い起こされていくような。読み解くほどにhiromichi nakanoコレクションの深さを感じてしまう。
