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「ZIN KATO」2018春夏コレクション

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「ZIN KATO(ジン カトー)」が2018春夏コレクションを発表した。

荘厳なバロック音楽が流れる中登場したファーストルック、ここから見せるコレクションの数々は予想を凌いだ壮大な展開となった。
ZinKatoの特徴とする女性らしいしなやかで繊細なレース使いとブラックを基調としたロマンチックなデザイン、そこには大胆に配置される羽、ショルダーをオフにし、大胆に重ねたアウターにはハードなレザー、ビックベルトで固定されている。これらのバランス感覚を鈍らせるレイヤー使いは、華やかで豪華な素材パレットをしっかりと定着させて完成させているため、不思議と荘厳さと厳粛さを感じる。これが今季のテーマとなった「グラム・バロック」。

これは、グラムロックとバロックを掛け合わせた造語だが、グラムロックとは70年代前後に起こった、華やかでユニークな装飾やアバンギャルドの組み合わせなどを特徴とする芸術ムーブメント。一方で「いびつな真珠」という意味がこめられる17-18世紀初めの芸術「バロック」はその時代を代表する革新的な芸術形式で、レースや重厚感あふれる動的な装飾は過剰な表現とされ、その後の芸術家にも多大な影響を与えてきた。これらに共通するのは、ある種の飽和からパッションが起き、価値観の変動、そして新たな芸術が生まれているところだ。

それぞれの時を超え、折り重なった瞬間。ZinKatoの成した驚くべきことはここにあり、言葉で表現するに足らない2つの芸術ムーブメントをファッションの上で合致させることができるデザイナーは数少ないに違いない。ZinKato自身の過ごした「時」を現代の衣服の上で見事に観客に印象付けた。

音楽史、ファッション史、あらゆる芸術の歴史において活動が盛んになり、複雑性、多様性が認められ、それらが飽和しやがて調和を生み出す。この飽和状態の現代、鮮やかに切り返されたコレクションから、そろそろ誰もがその時代を今生きていることに気がつくかもしれない。

Taeko

 

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