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ジャパン・レザー×若手デザイナーの新しい感性が生み出す「東京ニューエイジ」のファッションショー

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左:RYOTA MURAKAMI 右:kotohayokozawa

日本最大級の革トレードショー「東京レザーフェア2016-17A/W(第93回TLF)」が12月3日(木)・4日(金)に開かれ、ジャパンレザーを使ったファッションショーを開催。「東京ニューエイジ」のRYOTA MURAKAMIと、kotohayokozawaの若手デザイナーによって展開された全く新しいスタイルのファッションショーは、2015年6月から6ヶ月間に渡り準備が進められ、浅草の革問屋とコラボしデザイナー自ら素材を厳選。革素材の特性を研究し尽くしスタートした独創的なステージは、日本の誇る伝統的な革の特性を生かしたものとなり、今後のレザーファッションの新しい可能性への期待が膨らむものとなりました。

ファッションショーの後には村上亮太氏、横澤琴葉氏の両デザイナーに、東京ニューエイジをプロデュースする山縣良和氏が加わりトークショーを開催。

UNCLACKよりトークショーの模様をレポートします。

<登壇者>
東京ニューエイジ:山縣氏(右)
デザイナー:村上氏、横澤氏(右から2番目、3番目)
繊研新聞社:青木氏(左から2番目)
TLF司会:(左)

司会:若いデザイナーを輩出し注目されている「東京ニューエイジ」ですが、プロデュースされている山縣さんから見て今回のコレクションはいかがでしたか?

山縣さん:彼らが学生の時からみてきたので、自分が使ったことのない素材を大胆に使う様子や成長ぶりを見ることができてました。横澤さんは、いままでなかったデザイン使い、レザーの張り方をしていた。これまでの流れを汲みつつも、”削っていく”作業により今回のデザインが生かされている。村上さんはモードの中にユーモア、「だささ」が特徴で今回は「農家」の要素を入れたコレクションとなりました。

青木さん:横澤さんのコレクションはカジュアルでストリートな感覚のあるレイヤードがベースにありながらも、すごく女性らしく、大人っぽさが含まれていますね。レザーの柔らかさが、なめらかに動き女性らしさにつながっているのかもしれない。いまっぽいラフさがあります。

村上さんのコレクションはとにかく面白かったです。1体を見るだけで、日本のノスタルジーを感じさせ、野暮ったさ、なつかしさをベースにありながらも、フォルムのバランスによって、若者が作るモード、大胆なデザイン性が全体に表現されていましたね。

司会:製作はどのぐらいかかったのでしょう?今回のコレクションに至るまでの背景を教えてください。

村上さん:実は今日コレクション開始5時間前ギリギリまで製作していました。無事終わってよかったです。レザー素材、とくにベーシックで加工の強いレザーをこれまで使ったことがなかったのですが、ベーシックな中にもいろいろあり、柔らかくてドレープが出るなど、実際にレザーを見に行くことで素材感や持ち味を知ることができました。

横澤さん:今回モデル全員を一度見てもらえるシーンを作りたかったので、発表ができる機会となりよかったです。そして、レザーに対するイメージが変化しました。普段使わせていただく機会がなく、初めて使ったのですが、加工の技術がたくさんあって、たくさん見させていただき、取り入れつつ進めました。いま家中に革の香りが立ち込めているぐらいのたくさんのレザー素材を置いているのですが、そうした環境の中で、革と一体化して、イメージを深めていきコレクションへ落とし込むことができました。

山縣さん:若手が出て行く場所を、東京コレクションウィーク(※東京ニューエイジは今年10月開催のメルセデス・ベンツファッション・ウィーク東京コレクションに出演)という場で発表するのは大事だと思っていて、色々な方に知ってもらい、東京レザーフェアや、いろいろな場の機会で業界全体を巻き込んで広げていくのは若手の人にとってとても大事なことだと思っています。

司会:東京ブランドの現状はいかがでしょうか?

青木さん:東京のデザイナーの変化のスピードはかなりなもので、10年前のデザイナーというと「カワイイ」いう言葉で集約するブランドが多かったです。しかし、今の若手のデザイナーは、大人の女性が着たいと思うモード、エレガンスが出てきているように思います。海外のエレガンスなどから気負わないようなユーモアや遊びが取り入れられるのは力強いことですね。発信してもらいたいし、それを支えるプランナーの方が増えていくことに期待したいです。

TOKYO LEATHER FAIR 2016-17 A/W

司会:老舗ブランドとタッグを組んで発表したことが業界でどのように影響を受けると思われますか?

青木さん:今回のように、素材を扱う老舗ブランドとの協業により、ブランド商品の幅が広がると思います。ちょっと前まで大量消費が流行っていました。しかしいま、消費者、バイヤーの方と話すと、大事にモノと接したい、という傾向に変化しつつあります。レザーは経年変化を楽しむものだし、デザイナーがアイデアを乗せて行くにはとても貴重な素材になるかもしれません。

司会:今後のビジョンをお聞かせいただけますでしょうか?

村上さん:自分のコレクションには「野暮ったい」というキーワードが多く登場し、これまではセーターやほんわかのアイテムが多かったのですが、それと合わせるのにレザーは相性がいいと感じました。やわらかい素材×ハード素材の組み合わせを今後展開いきたいです。

横澤さん:カジュアルなブランドイメージをこれまで作りあげてきましたが、レザー素材にはそこに「説得力」が加わり、ひき続き使いたいです。若い方も着用していただきたいと思いました。特に、大切にずっと使えるもの、例えばお母さんが使っていたカバンを娘にあげるなど、長年愛用していけるカバンや靴を作ってみたいと思いました。

山縣さん:最近海外いくことがあり、痛感するのが、パリ、ミラノの伝統的なブランドはデザインだけで成り立っているのではなく、ヨーロッパ全体に散らばる職人のネットワークやつながりを大事にしプロダクトが出来ている。日本でもデザイナーがそういった部分にまで視野を広げ、各地の職人と積極的に取り組んでいくことを見習っていくべきかもしれません。

Photo : TLF  Text : Taeko

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