hiromichi nakano 2016 S/S コレクション。「和」の空気を感じさせる楽曲、ブラック、レッドを基調としたドレスのシルエットは裾に向かってゆるやかなAのラインを描き、袖、デコルテなどほんの一部に、控えめに「着物」素材が使用されている。中盤では日本の国旗を思わせる赤く丸いモチーフが施された鮮やかで印象的なドレス。
もう一つのラインとして、hiromichi nakano の原点でもある「少女服」の世界を今回は”バレリーナ”をテーマにパステルを基調に表現。
デザイナー中野裕通が30年間反物を集めてきたほどの着物のコレクターで、今回の発表で使われている着物は昭和時代古くから愛されてきている絹織物「銘仙」を使用したもの。自身も日頃から茶道を嗜んでおり、茶道人の多くの着こなしを見てきている。
着物は古くから、1着の着物の仕立てをほどき1枚の布にした上で、繰り返しリメイクし子供から大人になるまで着続ける文化がある。しかし子供サイズから作り直す作業というのは一般的に非常に難しい。着こなしも慣れていないときれいに着られないが、”ドレス”に取り入れることでフォーマルな場で身近に着物を感じてもらえるようにしたとのこと。また、1915年ごろに日本が持ち帰った西洋文化から生まれた”大正ロマンの世界観”、そこからインスパイアを受けてきているという。
「グローバルに発信するのが容易になってきた時代だからこそ、日本文化の発信、世界観を伝えることをしていきたい」中野裕通の言葉そして今回のコレクションラインは、発信力の試されている今のアパレル業界の世代へ少なからず影響を与えるきっかけとなるのかもしれない。
hiromichi nakano
1984年創設。デザイナー中野裕通が好きなもの、興味のあることをその時の気分で自由に表現したブランド。デビュー当時からの繊細な透明感あるスタイルは変わらぬ人気となっている。
http://www.hiromichinakano.com/