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「TSUKASA MIKAMI」2016秋冬コレクション

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プレゼンテーション開始からシリアスなチェロのソロ演奏による独特な空気感が作られたAWコレクション。

今回はスーザン・ソンタグの著書”Regarding the Pain of Others”「他者の苦痛へのまなざし」から着想。

世界中で起こっている戦争やテロなど現代社会における無数の残虐性、不安や葛藤を、ファッションを通し表現される極めて提起的な発表となった。デザイナーMIKAMI曰く、個人の見方としてもちろん戦争に反対ではあるが、そうした課題を特定の人間に深刻に訴えようとしているでなく表現の上であくまでポジティブにメッセージ性を込めているとのこと。

戦争を象徴したコレクションは前回のSSから継承されたもの。今回から「迷彩柄」が用いられ、和柄や椿・蓮などの花モチーフ、漆黒ブラックの散切りヘアスタイルや朱色の色使いが日本の戦国時代を想起させる。

昨今の各ブランドコレクションで頻繁に登場するようになった迷彩やカーキカラーは西洋の視点で取り入れられたものが多いが、今回のようなデザイン性カラー使いともに和のテイストが織り交ざるコレクションは、回帰的でもあり、新鮮。また、ウエスト部分が丁寧にプリーツが施され、切り替えし部分から裾に向けてゆるやかに広がる「袴」風のボトムに、真っ白なでシンプルシャツ。ミドルからロング、よりワイド丈へと変化する流行のボトムスタイリングの参考にしたくなる。

また印象的だったのは、モデルの表情に見られた沈着で冷酷な”まなざし”の表現力。背景に隠されたテーマを知ると、見る人への無言の説得力が増し、強く惹きつけられる作品だった。

TSUKASA MIKAMI ツカサミカミ

1982年広島生まれ。桑沢デザイン研究所卒業後、株式会社エイ・ネット、株式会社電通などの勤務を経てデザイン事務所「xerographica LLC.」を立ち上げる。同時にシャツを中心としたユニセックスブランドTSUKASA MIKAMIをスタート。新しい日常着をテーマに2015年SPRING SUMMER より展示会形式にてコレクションを発表。

http://tsukasamikami.jp/

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