私たちがいるほとんどの街では、ごくごく自然に売り買いが行われ、買った人はそれがどこで作られたのか、素材はどこで産まれたのかすらよくわかっていないことがある。買った「モノ」が使われ、いらなくなり「廃棄」される。永遠と循環される日常。そこにモノへのこだわりはあるだろうか。
今回のインスタレーションでは、マネキンと人が混在されたアート味溢れる面白い発表であったが、その背景には、アフリカや中東、アジアの民族モチーフから想起させた廃棄物のマーケットがある。世界中のどこの国からか廃棄された漂流物からはダークで、さもネガティブな印象をも持ってしまうが、まったく反対の意義が込められていた。
それらの漂流物は誰のモノなのか、どう使われたモノか知らないからこそ、自分が感じたままに身にまとわれ、新鮮に色彩豊かに書き換え、神秘性が増す。それはエシカル的な定義を強く発信するのではなくごく日常に。
シアター・プロダクツのGOLDMINEとテーマされるアイテムから、特に日本人が非日常的だと感じるのは、おそらく私たちが存在する売り買いのマーケットひとつ、素材ひとつに対しても疑念をいだくことなく当たり前に回っているからだとあらためて気付かされる。多彩な色彩感覚、組み合わせ、布の巻き方を見ても、独創的で独自のスタイルが各々。新しい価値を見出す面白さがそこにあった。