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divkaが他のモードブランドと何が違うのか

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「新しい服、美しい服を作ることを目指す」コンセプトはシンプルに見えて極めて難しいことであり、実験的試みを繰り返した上で生み出されることを、この東京コレクションで最も知り尽くしているブランドがdivkaなのかもしれない。

divkaは2016年SSで初のランウェイコレクションを発表、しかしブランドの登場はその5年前で、初めに注目を浴びた場所はスペイン・バルセロナのショー、バンコク、パリ、イタリア・ヴィチェンツァ。そして東京都知事賞を受賞した経緯がある。つまり世界が先じて目をつけていたブランドということになるが、コンテンポラリーかつモード、新しい取り組みやブランドイメージを目指すブランドは日本にも多数あるなか、何がほかと違うのか。

一貫してこれまでもグレートーンをベースに、ドレープ感やアシンメトリーを取り入れた洗練されたシックなウィメンズラインを作ってきたが、今回のコレクションで展開されたテーマは「in progress」。中性的、ユニセックスなルックの数々は昨今のモードな女性たちが求めてきたリアルクローズとして反映できる。SSと比較し、AWではダメージの風合いが特徴的なロングボトムス、スタンドカラーデザインのコート・ジャケットなどマニッシュな要素を取り入れ、レイヤード使いに深みが増す。トップスに同じカラートーンのプレーンで柔らかな質感のカットソー、足元の華奢なヒールやブーティを組み合わせることで見事なバランスを取っている。

また、制作過程で偶然生み出される生地の落ち具合や風合い、想定外の「皺」すら完成までとっておく、そうした手法は今回のコレクション以前から続き、工程や仕上がりへの固執したイメージをあえて払拭し、むしろ生地の選択からデザイン・パターン全ての制作過程で起こる変化を楽しみ、吸収し、貴重なものとして捉える。

そうして研ぎ澄まされていく力こそが、divkaそのものであって、洋服のもつ潜在力を信じている。ブランドが持つストーリー性が魅力的であり、コレクションを見たひとたちがそれを感覚で理解する。世界で共通した共鳴への鍵なのかもしれない。だからこそ次のコレクションへの期待感も増していく。

日本ブランドを世界に発信する場合「東洋」らしさを定義的な言葉やコンセプトの構築によって全面に出す手法は数多くあるが、divkaはむしろ対局的で本物の「モード」の世界観へ限りなく挑戦する数少ないブランドのひとつに思える。

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