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フロイトの精神世界から着想したセクシャリティの本質 – DRESSEDUNDRESSED

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DRESSEDUNDRESSEDは台頭するユニセックスブランドの中でも特にミニマリズムなイメージを持つが今季のAWでは新境地ともいえるスタイルを発表。ファーストルックから登場したランジェリー、スリップドレスは見るものを驚かせた。それは大胆にも「女性性」を露骨に表現したことになり、どのような変化が起きたのか。

今回、フロイトが提言する“夢の精神世界”と、デヴィット・リンチの映画「ツイン・ピークス」からも影響も受け、さらにはセクシャリズムと幼稚性がテーマに組み込まれている。

極限までそぎ落としたミニマリズムへのこだわりはそのままに、今回はこれまで使用しなかったレーヨン素材のランジェリーやレースモチーフが登場。スリップドレスに、ロングチョーカー、乱れた髪、その組み合わせの曖昧さ、不安定さが人間の持つ欲動や葛藤を想起させる。

カモフラージュ柄とばかり思っていたモチーフ、それは男女が交わりあう姿であり大胆にロングシャツ全体に描かれる。ヌーディカラーのビックシルエットコートを裸体の上から見にまとう姿からは、一見して素肌感がより増長させエロスを感じさせる。一方で登場するルックではブラックのスウェットに裸体とみられるイラストがざっくりと描かれるといった幼稚な側面を見せる。

ショー終了後の取材時、デザイナー北澤武志は感極まり涙ぐんだ。報道陣は一時静かに見守り、インタビュアーも質問を控え、本人から発する言葉を待つことにした。
クリエイティビティ溢れシャープな印象を持つ若い男女。デザイナーの2人はやがて夫婦となり展開することとなったブランドがDRESSEDUNDRESSED。実はほんの1週間前に小さな命の誕生を迎えたのだという。

そう告げられたと共にはっきりと理解したのは、今回のコレクションは少なからず、妊娠をきっかけにイマジネーションされた、人間のセクシャリティの本質部分を表現したものであることだった。

デザイナー自身の生き方そのものから、ビジュアル化に向かう波が起き、見るものに影響を与えるまでの力は並大抵の思い・実現力ではない。生まれたばかりの命は、2人の男女を導くかのようにストーリーの源となり、またさらなる次作への架け橋となるのだろうと夢を馳せる。

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