Feature

“to whom” – divka 2017SS collection 未知の服へ

Share this post

どの時代でも固執された女性美に対する考えが、服という表現方法の上で押し付け続けられるときがあり、ただ、はっきりとした女性印を押された服が人を魅了し続けるのかというと、女性の複雑性はそういうことでは単純に表現できないように思える。むしろ秘められたパーツと微かな意思表示は想像意欲につながり、色気が伴う。

性別に固執しないユニセックスな構想から生み出される「女性服」からは可能性が無限に広がっている。また、服をもって、私たちはいつでも受け身ではなく、自発的な表現ができるか否か試されている時代なのかもしれない。

divkaからはいつも非常に冷静で沈着、自立した女性像が浮かび上がる。

無機質なアイスグレーやスモークがかったブラックの特徴的なカラートーン、メンズライクなシルエット、それに柔らかな素材やドレープが重なり合い、まるで拡大鏡で一つ一つ見るとどこかアンバランスで錯覚を起こしているかのよう。ところが徐々にスライドし全体像として見たときに、調和され、見事な女性らしさが表現されていくことの不思議さ。

初めてのdivkaコレクションを見たときから感じるその不思議さは、ただ驚くだけでなく、理由や工程を知りたくなる。同時に、言葉で簡単に知り得るほど単純なものではなく、見たまま服の意味を受け入れ感じることを教えられたのではないかと思う。

今回のコレクションのテーマは「to whom」。これまで構築してきた服づくりの構想からあえて一旦距離をとり、凝縮された時間から生み出された素材感や形、プリントや色合いの数々は、ひとつ新しいdivkaの表現領域へ踏み出した。

よりワイドでゆるやかに形作られたルックの数々。モダール素材が取り入れられた生地は、プリントがより際立ち、ブルーの美しい色味と風合いを実現している。シルクスクリーンやインクジェットの方法として、これまでにない京都の染色技術を用いるなど、独自の深みかつ鮮やかな色彩ややわらかな光沢感による表現を可能にした。また、これまでには見られなかったデニム素材を採用。ワイドに広がるドルマンスリーブのトップスや変形カットされたアシンメトリースカートの組み合わせなどは、divkaらしいモードなシルエット、さらにはウエストや袖の絞りにより自在に変形でき、いくつかの表情を楽しめる。

コンテンポラリーなコレクションからは新しい変化と試みを楽しんでいるかのように見える。そしてそれを着る人は、豊富なシルエットの変化を作りだし、表現の面白さを知り、体験できるのではないかと思う。

関連記事:divlka 2017春夏コレクション

Related stories