太古・古代というイメージからは、神秘性とエキゾチックさが混合され、縁遠い文化と感じるひともいるかもしれない。遥か太古のエジプトからアジア大陸へと継承され、文化が発展してきたアジア人である日本人としては必ずしも遠からず、むしろ欧米人より近しい存在とも思える。また、民族の伝統衣装からは、文化を視覚的に捉えることができ、国や民族のアイデンティティや古い歴史を辿り明らかにしていくのには貴重な資料となっている。
IN-PROCESSが展開した”IMMEMORIAL MODISH”がテーマの今季のコレクションは、太古のエジプト・メソポタミアからインスパイアされたデザインが特徴。プリーツ加工が美しい繊細な光が反射するラップスカートは、シルバー箔加工を施したコットン素材を使用。落ち着きのあるネイビーカラーや、リネン・インディゴを使用したニットは大人のシックかつカジュアルミックスのスタイリングを容易に取り入れることができる。エジプトに存在し着想したスモッキング刺繍やボタニカルのフェミニンでロマンチックな数々のモチーフ中に、幾何学が取り込まれる。遊び心あふれるプリントや素材からは、どこかアーバンで都会的な雰囲気を感じる。
伝統を継承しながらもオリジナリティを溶け込ませる、こうした書き起こし方からは、大袈裟かもしれないが近代文化の象徴的なアイコンに置かれがちな日本人としては、服による「わたしたちの」表現や着方をあらためて学べるのではないかと思う。