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“優美な意外性 – A Dainty Sheer Layer” – Hanae Mori manuscrit 2017SS collection

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今季のハナエモリ・マニュスクリのコレクション会場は東京ガーデンテラス紀尾井町の「赤坂プリンス クラシックハウス」。1930年に邸宅として立てられ、東京都有形文化財となった建物であり、到着してすぐにその格調の高さを感じることができる。調度品が置かれ、重厚感が漂うが、どこかゆるやかな空気が吹き抜ける、落ち着いた雰囲気はなんだろう。

プレスの方々から案内された場所は、中央に位置されるガーデンテラス。そこは日差しが照り、驚くばかりの明るさ。秋の季節を待ち受けたかのように気持ちの良い天気。この場所を選んだ理由として、デザイナーの天津憂は、シアー感のある透ける素材感を用いたデザインワークの表現するのにこうした場所がすぐに浮かんだという。これまでの東コレ会場のように密閉された空間ではなく、吹き抜けた雰囲気は心地よく、視覚や香り、肌ですべてを体感することができた。天気すら味方につけてさすがとしか言いようがない。

厳かに流れる弦楽器の四重奏。ファーストルックは、真っ白なドレスの上からボトムス部分にたくさんの透明感ある素材を施しとても華麗。きらきらと反射し、四重奏とあわせるかのようにそれらの素材がシャンシャンと音を立て、私の目の前を通りすぎる。

ブランドコンセプトのキーになったものとして注目したい「伝統工芸の江戸切子」。ガラスの表面に様々な模様を施す江戸切子の技法をオマージュしたと見られる数々のルックは、淡いカラーリングと調和し目を見張る美しさ。物事の本質が透過されるという意味合いが込められるテーマは、伝統的な技法から見出したことでその透明感と主張と可憐さが見事なまでに表現されていた。

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