バッグから着想するスタイリングをコンセプトに独自の表現を展開するkeiichirosense。「a passion never experience before..」と発表された今季のコレクションのコンセプトから、直感と遊び心を大切にし、不安定で空虚な”現代”への反抗とも取れるアバンギャルドかつアグレッシブなデザインが豊富に展開された。
SF映画のオープニングを彷彿する未来チックな選曲とともに登場したファーストルックからその期待を裏切らず、シルバーや光沢素材を豊富に用いられ、メッシュ状の被り物、フューチャー感あふれるルックの数々。次から次へと登場する豊かな構成は期待感をさらに煽り、最後まで目を見張るものだった。
keiichirosenseのバッグはもはや持ち物ではなく身にまとうウェアラブルな洋服そのもの。タンクデザインのトップスの後ろ身頃部分には収納可能で、それがひとつに留まらず、袖部分だったり、パンツの両サイドだったり、至る所収納できる完全に一体化した洋服であることに驚かされる。おもえば、宇宙での活動(というシチュエーションはコレクションと関係ない勝手な想像で)を想定した場合では、持ち運びの都度手がふさがってしまうバッグの概念をなくし、服と一体化させる必要性が出てきてもおかしくない。
また、特に観客を驚かせたのは、蓮状に大胆に広がる華やかな襟ぐりデザイン。見た目から想像するのは「皇帝」だったり「戦士」。また、着物素材が使われているものもあり、ここであることに気づいたのだが・・それは映画「スターウォーズ」シリーズに衣装が採用されてもまったく遜色のない作りであること。遠い将来、女王、騎士が着用する未来服はこんな感じだろうかと夢が膨らむ。
ジェダイの騎士にも通じるところの少し古いシャビー感のある服やパーツは、コレクションの中にいくつも登場していた。すべてが完全なる無機質かつ様式美に仕上げるのでなく、新古の利点を取り入れた、よりリアルで機能的なスタイルが実現できているようにも思える。
Keiichirosense
ミペルアワードを連続受賞後、Made in Japan を世界に発信すべく2012年に新会社ケィ・ディアーを設立し、新ブランド「KEIICHIRO」をスタート。姫路の皮革をベースに、日本の伝統的なテキスタイルや新素材を融合した高度な特殊技術と独創的なバッグデザインで新しい価値の想像を提案。「バッグから着想するスタイリング」をコンセプトに、ファッションブランド「Keiichirosense」をスタートさせ、独自のスタイルとフィーリングを表現するべく、シルエットを意識しながらも、鞄という機能までをもファッションに取り入れる、いわばウェアラブルなスタイルを追求。