Hanae Mori manuscritはこれまでも、水や土、木々、植物、花、などの自然物をキーにテーマが構成され、大人の洗練された女性像がシャープに描かれた。前回は湖がテーマで壮大なセットとともに非常にみずみずしい透明感あふれるコレクションだったが、今回の2016AWでは「バーガンディ」「ローズ」「カーキ」「ピーコックグリーン」などマットなディープカラーを中心に構成され、テーマは”Inorganic&Organic 無機物と有機物の融合”。パリの街のランドスケープから着想された、街の計算された建造物と、街に咲き乱れる庭園の花、その対照的な2つをデザインに重ね合わせられているとのこと。
冒頭の映像パフォーマンスで流れる、木々の揺れや微かに開く花びらを象徴しているかようなヴィジュアル。ゆっくりと開花した花弁から放つ濃厚な香りが漂っているかのよう。つい見とれているうちに、一斉に花びらが散ったかのような光源が飛び交い、かと思えばファーストルックで現れた妖艶なレッドカラーを身にまとう女性。ランウェイ上を真っ直ぐとこちらへ向かう姿からは、さきほどのビジュアルムービーの影響からか、一輪のバラを見ているようで、不思議な色気が漂う。
全体のシルエットでいえばむしろ体を覆い尽くすほど幅の広いタートルのカットソー。芯となる体のラインはほぼ隠されており、歩くたびにひらりと動く様子は、花びらを彷彿させる。
また、複数の小さなバッグを見にまとうスタイルは全体のスマートなシルエットのアクセントとなり、スポーティミックスなトレンドスタイル。中盤に登場したジオメトリック柄・カラーブロックされたセットアップは、裾をミドル丈、またはワイド丈で切りそろえられ、袖口がベルスリーブとなったもの。これらのスタイルはいずれもデイリーユースに取り入れたくなる。
後半ではカーキやブラウンなど土・木々がイメージされるカラーリングに、グレートーンの構築物的な要素が重なりあったルック。また少し黒みがかった大人の雰囲気たっぷりのグリーンカラーのドレスルックは、片側が大きなリボン状に結ばれエレガントで印象的なスタイル。こうした少女性が加わることでシルエット全体に少しばかりアンニュイさが加わり、どこかに散っていきそうな儚いような・・。
シャープで都会的なイメージから垣間見る花のような華麗で儚げな表情、それらのミックスされた構成は女性が持つ2面性が表現されたようで、とても美しいものだった。
Hanae Mori manuscrit ハナエモリ マニュスクリ
ブランドの基本概念である、「品・華・凛」を今の時代に繋ぐ、New HANAE MORI Style。ブランドのベースにある永遠のテーマ『エレガンス』を基本に、新しい息吹を加えたハナエモリ・スタイルを素材、シルエット、ディテール、グラフィックで表現。
ブランドアイデンティティーである、「蝶」をアイコンに用いながら、あらゆるシーンで活躍する女性にフォーカスした新しいワードローブ。コアターゲットは、今を生きるチャーミングで自立した女性。ビジネスシーンからパーソナルシーンまで、アクティブな日々を過ごしながらも、いつの時も女性本来のエレガントさを忘れない。
個性的でありながら、人との調和も忘れない、バランス感覚のすぐれたエージレスな女性がターゲット。