老若男女、その名を聞くだけでだれもがファッション界のトップブランドであることを知り、日本の宝とも言えるブランド、ヒロココシノ。今季のテーマは「混純」アジアの美しさを表現。
私たちはアジア人である。日本が大陸だった時代からその血が途絶えることなく、この先受け継がれる自分たちの子供や孫、その先の未来へ向かって流れは続く。今回、そうしたアイデンティティに基き再構築されたものでもあり、加えてコンテンポラリーな要素を盛り込んだことに、ヒロココシノの壮大なプロジェクトが完成形となる。
舞台に大きく照らされる格子状の赤い枠。これは鳥居などにも用いられる日本の象徴的赤。「無伴奏チェロ組曲」の奏でる音色が独特の空気感を作り、幕を開けた時、必ずしも「和」を表現した単純なものではないことがわかった。甲冑や紋章をモチーフにアレンジされたデザインは日本の伝統を世襲したファッションではなく全く新しく生まれ変わった芸術作品に思えてくる。
そもそも日本の服とは何か。ファッションとは進化形をたどり、代々受け継がれ、時代の変化・歴史と共に柔軟性を伴うものである。反対にそれを読み解くことで過去の歴史のあり様を理解することもできる。現代日本が誇りを持って受け継がれる伝統美。難しい語りは抜きに、この度のショーを持って有無を言わさず証明されてしまったということではないだろうか。
HIROKO KOSHINO
1982年創設。日本を代表するブランドとして、国内のみならず世界各地で高い評価を得ているヒロココシノ。HIROKO KOSHINO COUTURE、HIROKO KOSHINO PREMIER、HIROKO KOSHINO、TRUNK、HIROKO BISの5つのブランドを擁する婦人ファッションのショップ数は、国内外でおよそ250店舗を数える。ほかにもTV通販などで展開する婦人服、バッグや財布、帽子などの雑貨類、タオルや食器などの生活関連商品、紳士ファッションのトータルアイテムなど、幅広い分野でライセンス事業を展開している。